第39回
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■SqueakではじめるSmalltalk入門 第39回
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本連載では、名前は知っていてもなかなか触れる機会のないSmalltalkについて、最近話題のSqueakシステムを使って紹介しています。今回は、つい先頃、メジャーバージョンアップしてリリースされた日本語版Squeakを取りあげます。
この連載で紹介し使用してきた“公式版”と呼ばれるSqueak(現在のバージョン3.7)でもまだ、日本語をはじめとする、いわゆるマルチバイト文字列を扱うことができません【註】。しかし、これまでご紹介してきたとおりSqueakシステムは通常のOSと異なり限りなくオープンで、かつ、ほとんどすべてがSmalltalk言語で記述されている均一なシステムであるため、自由な改変が比較的容易な柔軟な作りになっています。したがって日本語化を含む多言語化についても必要とあらば、エンドユーザーレベルでの機能追加も可能で、実際、Squeakシステムの多国語化は1999年から、当時まだ、東京工業大学の学生だった大島芳樹氏の手により、Squeak 2.3をベースにして始まりました。
http://www.akademia.co.jp/Smalltalk/SML/archives/SRA.archives/1999-April/003457.html
Squeak 2.4への対応後、開発は途中休止しますが、それまでVisualWorksで仕事をしてこられたベテランSmalltalkerの阿部和広氏にいったん引き継がれ、Squeak 2.7から再び動くようになります。
http://www.akademia.co.jp/Smalltalk/SML/archives/SRA.archives/2000-July/004313.html
当初は多国化を扱うための最小限の機能を提供するにとどまり、また、公式版の仮想イメージに差分情報を読み込ませるインストール作業が必要でした。そこで、Smalltalkシステムの作法に馴染みのない人への便宜をはかるために、一連の、簡単ではありますが知らない人には難しく思われる作業を済ませた、インストール済みの仮想イメージが用意されました。これを「SqueakNihongo」という名称で配布するようになったのが“日本語版Sqeuak”で、その最新版が、今年の三月に公開された「SqueakNihongo7」です。
http://www.smalltalk.jp/pipermail/squeak-ja/2005-March/002389.html
http://d.hatena.ne.jp/squeaker/20050321#p2
ひとつ前のバージョンであるSqueakNihongo6.1までのリリース経緯については、阿部氏の「日本語版Sqeuakを使おう」ページの<日本語版Squeakの歴史>を参照ください。
http://squeak.hp.infoseek.co.jp/nihongo.htm
さて、SqueakNihongo7ですが、先の大島氏のSqueak-jaメーリングリストでのアナウンスにもあるように、現在、次の場所で入手可能です。
http://squeakland.jp/developer/
OS Xの場合「Squeakバーチャルマシン」は、Squeak 3.8.6Beta6.app.sitをダウンロードし、必要ならStuffIt Expanderなどを用いて“解凍”します。「ソースファイル」はSqueakV3.sources.zipをダウンドローしても構いませんが、この連載で使用中のSqueak 3.7フォルダにあるSqueakV3.sourcesをコピーしても使えます。もちろん、肝心の「開発者版Squeakイメージファイルとチェンジファイル」のSqueakNihongo7.zipも忘れずダウンロードしましょう。SqueakNihongo7.zipは、解凍されるとフォルダが作られるはずなので、ここにすでに入手済みのバーチャルマシンとソースファイルを入れれば作業用のフォルダが出来上がります。
[fig.A]SqueakNihongo7作業用フォルダの中身
仮想イメージである「SqueakNihongo7.image」をバーチャルマシン「Squeak3.8.6Beta6.app」にドロップインすれば“日本語版”のSqueakシステムを起動できます。なお、Finder上では、仮想イメージファイルはバーチャルマシンの文書ファイルとして扱われますので、関連づけさえきちんとできていれば仮想イメージのダブルクリックで起動することも可能です。ただ、複数のバージョンのSqueakバーチャルマシンが同時に存在し使い分けているときは、どの仮想イメージをどのバーチャルマシンで起動するかを明示的にするためにドロップインのほうが安全で確実だと思います。
[fig.B]SqueakNihongo7起動後の画面
SqueakNihongo7では、メニュー項目やヘルプメッセージのたぐい、eToysのフレーズなどが日本語化されています。ただ、すべての項目が日本語化されているわけではないことに注意してください。また、残念ながら現状では、Macでの日本語変換時のインライン入力には未対応です。
[fig.B]日本語化されたデスクトップメニュー
次回は、このSqueakNihongo7を用いて、Smalltalk言語で日本語をどのように扱えるようになっているのかを確認してみましょう。
註:Squeak 3.8より、SqueakNihongoで培われた多国語化機構が公式版(英語版)でも採用され、日本語フォントなど若干のリソースを追加するだけで日本語が扱えるようになりました。
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